>  2007/08/18 (土) 10:07:31        [qwerty]
> > 幼い頃の一番鮮明な記憶──…それは決して幸せなものではなかった。
> > 一番古いその記憶は、9年以上たった今でもはっきりと思い出せるくらい、鮮やかに俺の中に残っている。
> > そしてその思い出は、見えない傷となって俺の中に残り、いつしか人と深く接することを避けるようになっていた。
> > > > ***─────***────***
> > 夢の中でチャイムの音が鳴り響く。
> > 「ん───…」
> > 布団を頭までかぶり、再び眠りに落ちようとして我に返った。
> > 「あ───…」
> > 半分ボーッとする頭で、枕元の置時計に手を伸ばした。
> > 夢の中で聞いたと思っていたチャイムの音は、どうやら現実のものだったようだ。
> > 「初日から遅刻かよ」
> > 呟き、のろのろとベッドの上に起き上がると、ぼりぼりと頭をかいた。
> > 今更焦ったって仕方がない。チャイムが鳴ってしまったものをどうにかできるわけではないし。
> > 部屋を出て1階のリビングに降り、ダイニングテーブルの上に用意されていた、朝食のサンドウィッチを1つ口の中に放り込んだ。
> > 父が事故で亡くなってから9年。母は看護婦として働きながら、俺達姉弟を女手ひとつで育ててくれている。
> > 朝俺が起きる頃は日勤であろうと夜勤であろうと、ほとんど母は家にいない。
> > 4歳年上の姉も、高校までは電車で1時間かけて通っている為、3年前から俺は朝食を1人でとるようになった。
> > 中学校までは徒歩2分。家から見える距離にあるので、今までなんとか遅刻は免れていたのだが、今日に限って目覚ましをセットするのを忘れていたらしい。
> > 「休み気分引きずってんなぁ…」
> > 俺、樫原 悟(かしはら さとる)。今日から城崎中学校の2年生に進級する。
> > 初日から休むわけにいかないよなぁ…。
> > 面倒くさいと思いながら学生服に腕を通し、起きてから20分が過ぎた頃、ようやく家を出た。
> > まぶしいくらいの快晴の下、俺はまだ完全に覚めきらないボーッとした頭で、学校への道のりをのんびりと歩く。
> > のんびり歩いたって3分かからないんだし。
> > 今頃体育館では、新学期の始業式が行われているはずだが、校門をくぐった俺は体育館へは向かわずに、まっすぐに靴箱横の掲示板へと足を向けた。
> > そこに貼り出されている、新しいクラス分け。
> > 4組の上から数えて3番目に自分の名前を見つけ、他のクラスメイトを確認することなく教室へと移動する。
> > 誰と同じクラスになろうと、感心はなかった。
> > 割り当てられたクラスで1年間を過ごすだけだ。
> > 特に親しい友人はいない。だからと言って、これまでクラスで孤立していたというわけではなかった。
> > そこそこに連中とはうまくやっていたし、学校での友人は普通にいる方だと思う。
> > 暇つぶしにどうぞ(;´Д`)
> なげえ

全文陰陽宇是絵

参考:2007/08/18(土)10時07分07秒