2007/08/20 (月) 09:32:55        [qwerty]
必要とされぬ「不遇感」強く、ナショナリズムに走る若者、    京都大学教授、大澤
2007/08/08, 日本経済新聞 夕刊 1370文字

右傾化する若者が近年、多くなったといわれる。
若い世代のナショナリズム現象について、社会学者の大澤真幸京都大学教授に聞いた。
 今、オタク的な若者たちの間で
「コードギアス 反逆のルルーシュ」というアニメが爆発的な人気を博している。
テレビの深夜枠の放送後などは、インターネットで大変な反響が寄せられ、
この世界では「新世紀エヴァンゲリオン」以来の大ヒットといわれている。
このアニメの主題は私が見てもナショナリズムだ。
 日本は神聖ブリタニア帝国という超大国に植民地化されている。
しかも日本という名前さえ奪われ、「エリア11(イレヴン)」と呼ばれている。
「あいつらイレヴンだから」とさげすまれる。
この超大国の支配に、「黒の騎士団」を率いるルルーシュという若者が反逆を試み、
独立を企てるという話で、「ブリタニア帝国」対「黒の騎士団」という構図は、
米国とアルカイダの対立を連想させる。
 サッカー日本代表に熱狂するような心情は、若者たちに見られるし、
ネット上では、左翼を攻撃する若者の言葉があふれている。
しかし、日本の伝統にどっぷりつかった従来型のナショナリズムと今の若者の言動とは質が違う。
(後略)

 (おおさわ・まさち)1958年長野県生まれ。東京大学卒。社会学者。
著書に『性愛と資本主義』『電子メディア論』『帝国的ナショナリズム』、
近刊の大著『ナショナリズムの由来』(講談社)がある。