小さな甲虫のふりした黒ゴマを机に並べて 一つ一つ左手の爪ですり潰しながら 滲み出る油が机と爪に付着するのを眺める 手ぶらの右手で爪についた油を拭おうとすると 汚れが広がってしまって指先がぬるぬるする きれいにするのを諦めて 左手の人差し指の腹で机にへばりついたゴマを撫でる 机の上にゴマ油の丸く歪んだ鏡ができた 覗き込むとそこには見慣れた醜い顔はなく 不思議に大きく暗い眼窩と波打った輪郭があるだけ