───そうだ今宵も夢を見よう。とびっきりの夢を。恐ろしくて、悲しくて、 寂しい、だけど暖かい夢を。 人が見る夢がある。人では無いものが見る夢がある。夢は月の光を纏い、 月の光を纏った夢は白銀に、蒼に、そして深紅の色合いを魅せて輝きだす。 夜空には、ただ一人きりの月がある。 ああ───気ががつかなかった。 こんやはこんなにも、つきが───きれい───だ