2007/12/08 (土) 20:13:02        [qwerty]
このテンプレの使いどころを教えてくkれ
そういうことか!
私は驚愕した。確かにこれは多くても少なくてもダメとある。時間はかかるが
致し方ない。さっそく割り箸をちゃぽんと牛乳に突っ込み、ぽたりぽたりと
ボウルに牛乳をたらした。ぽたり、まだかたまらない。ぽたり、まだだ。
いったいどれだけの時間がかかっただろうか。夕食を作るという姉の申し入れ
も却下し、私はただひたすら牛乳をたらし続けた。ぽたり、またぽたり。
場所を居間にうつし、ぽたりぽたりをまた続ける。暖かいコタツに、ボウルと
生暖かくなった牛乳。姉が料理をする音が聞こえる。じゅうじゅうとなにかを
炒める音、ぽたり、じゅうじゅう、ぽたり、じゅうじゅうが耳を埋め尽くす。
私の世界はただぽたりとじゅうじゅうだけが支配していた。ボウルの底に溜まった
"それ"が凝固するまで、ただひたすら続ける。そして、じゅうじゅうがとまった。
ぽたりの瞬間、ボウルの中のそれは急速に凝固を始め、中に潜んだイチゴの欠片が
狂喜乱舞する。ゼリーのようで、そうでないもの。完璧なフルーチェの完成が
我が家に宣言された。
 姉さん!と私は叫ぼうとした。この成果を姉に見せるために。ねえさん!
しかしその言葉は途中で終わった。いらだつ表情の姉はガタリと肉野菜炒めの
入った大皿をテーブルに置く。その瞬間、わりばしからまたひとつのしずくが
零れ落ちた。スローモーションで落ちる牛乳の一滴。あわてて割り箸を遠ざける
も、ボウルに引き寄せられた一滴は、完璧なフルーチェに落ちた。
200mlを過ぎた牛乳を受け入れ、フルーチェは瓦解した。ただの甘いイチゴミルクが
そこにあった。絶望した私を傍目に、姉がお玉でそれをコップに注ぎ、飲み干した。
 私は泣いた。かけた時間のはかなさに。肉野菜炒めの美味さに。
そして、だいたいの量まで牛乳をそそいでしまわなかった自分のおろかさに。