そばに寄ると臭かった。 ほおっておけば蛆(うじ)が生じ、包帯が汚れたままだと、夜、寝てからネズミにかじられた。 指を脱落させ、足を断ち、日増しに顔相が変わり、顔なのか何なのか分からなくなっていった。 神経痛に切り刻まれる思いをし、熱こぶの汗が布団を貫き、骨が腐るほど痛み、 すべての部位を冒された挙げ句に視力を失い、そこからウジ虫が生まれても、 ただ無抵抗に祈るしかなかった。 「無菌地帯」より、あるハンセン病患者の手記