2000/08/18 (金) 22:15:54 ▼ ◇ [mirai]●20世紀最後の夏のオタクライフ(後編)
text by 岡野勇(放送作家)
さてさて、前回書いた「オタクにもイベントで恋人を
見つけるヤツはいる」。
いるんだこれが。ナマイキ(?)にも。僕はそんな経
験ないけどね(涙)。
これはオタク界の永遠のテーマなのかも知れないけれ
ど、実は非オタク層の人たちとオタク層の人たちの恋愛
は「ちょっと違う」と言われている。重要なポイントを
大まかに書くと「オタクとしての波長が合うか否か?」
「オタレベルが濃いか薄いか?」ではないか、と思う。
例えば夏コミケで、太郎君は入場を待っている間、隣
にいた同じ個人参加者の花子さんとずっと話していたこ
とがキッカケで知り合いになったとしましょう。
この時…
太郎「花子さんは何を買いに来たの?」
花子「『名探偵コナン』の小五郎と警部のカップリング
本がないかなーと思って。太郎さんは?」
太郎「『人狼』の評論本を探しに」
“やおい系”と“評論系”。コレはたぶんキツイ。この
先の展開はたぶん「ない」。
スカパー!では映画も一杯放送しているけど、これで
例えれば「『タイタニック』や『ベティ・ブルー』が大
好き!」って女の子と「オレ『デスレース2000年』が好
きッス!」って男が出会ったようなもの?
つまり、前回も書いたように「ひと口にオタクって言
っても、各人ごとに興味を持っている分野は千差万別」
なのだ。これでせめて男が「オレ『CCさくら』萌えで、
某有名作家が出すエロ同人を……」ってんであれば、「
この先はアリかも知れない」ってな予感がある。オタク
のベクトルが似たようなものだからだ。
「濃い・薄い」は、これはもう「オタク経験値の差」に
なってしまうから致し方ない部分もあるんだけど、例え
ば『ガンダム』を語るにしても「『Gガン』好きー」っ
て程度の人と、「1年戦争史をそらで全部言える」だの
「アナハイムのモビルスーツは…」だの「本物のミネバ
・ザビはどこに行っちゃったんだろうね」とか言うよう
な人とでは会話が成立しない。濃い人は濃い人と、薄い
人は薄い人としか視界を共有できないのだ(例外として
「濃い人が薄い人を教育していく」ってパターンもある
が)。
非オタク層からすれば「趣味のレベルがどれくらいか
なんて大した問題じゃない」って思うかも知れないけれ
ど、オタクにとってオタクレベルってのは「そいつ自身
の人生のレベルそのもの」みたいな部分があり、すでに
「趣味」という領域を超えてしまっている輩が多いので
これほど大きな問題はないのだ。
で、時々こういった条件が全部クリアされて、晴れて
「夏のオタカップル誕生!」ってな羨ましい目にあえる
ヤツもいるんだが、こんな事がオタク全てに起きるわけ
ではないし(むしろ起きない確率の方が高いけどね)、
そんなことを期待したり目的にしてどこかに行くわけで
はなく、あくまでも「己のオタク欲を満たす」のが第一
なんで自ら積極的に相手を探すようなこともない。
恋よりも己のオタ度を上げるための鍛錬としてイベン
トに行きまくる。それがオタクの夏ライフであり、運動
部が夏休みも練習をしているようなもんなのだ。
……てな風に、実はよく世間からは「部屋に閉じこも
っていそう」と勘違いされている僕らも、夏は結構大変
だったりする。
オタクは趣味じゃない。「生き方」だ。(たぶん)
楽しいだけではやっていけないのだ。