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>  2017/04/29 (土) 13:58:32        [misao]
> 「ふたりで店をひらこうぜ」
> 最初に言い出したのは、永井と僕のどちらだったか。
> 開業資金をつくるために僕たちは、
> 今では信じられないほど大胆な馬券の買いかたに挑んでいた。
> 九七年の春、シーキングザパールで軍資金を「転がし」た。
> 「真珠をさがして」 という名前のその牝馬が
> 三戦連勝で勝ったとき、僕たちの手元には
> およそ四百万円と、でたらめな自信とがそろっていた。
> 次は、NHKマイルカップ。
> 永井と、東京競馬場の正門で待ち合わせていた。
> だが、永井はあらわれない。
> 永井も彼のバッグに入った四百万円もなしで、
> レースは始まった。
> 瞬間、覚悟した。 もう会えまい。
> 馬群が第4コーナーに至っても
> まだ怒りを感じていない自分に驚いた。
> 僕たちの旅はこんな風に終わるのだ。
> この時を前から知っていたような気がした。
> オレンジ色の帽子がふたつ、群れの真ん中から飛び出してくる。
> シーキングザパールと、ブレーブテンダー。
> 生年月日も生まれた国も同じ二頭だと知っていたが、
> 走る姿までも似ているとは。
> 一着がどちらなのか、僕の位置からじゃよく見えない。
> 「どっちがどっちでもよかったんだ」 突然思った。
> 僕が永井で、永井が僕だったかもしれない。
> でも正門を出たところに永井はいた。
> 「時間を間違えた」 やっちまった、という表情。
> 「四百万円は?」
> 「だから増えてないって」 バッグに永井は目をやる。
> 「大損したよ馬鹿!」 大きな声が出た。
> 「でもプラスマイナスゼロだから」
> ちがうよ馬鹿、俺の気持ちが、だよ。
> 言いそうになったが、言ってたまるかとも思った。
> アニメ化しようぜ(;´Д`)

波平?

参考:2017/04/29(土)13時56分33秒

2017/04/29 (土) 13:56:33        [misao]
「ふたりで店をひらこうぜ」
最初に言い出したのは、永井と僕のどちらだったか。
開業資金をつくるために僕たちは、
今では信じられないほど大胆な馬券の買いかたに挑んでいた。

九七年の春、シーキングザパールで軍資金を「転がし」た。
「真珠をさがして」 という名前のその牝馬が
三戦連勝で勝ったとき、僕たちの手元には
およそ四百万円と、でたらめな自信とがそろっていた。
次は、NHKマイルカップ。
永井と、東京競馬場の正門で待ち合わせていた。

だが、永井はあらわれない。
永井も彼のバッグに入った四百万円もなしで、
レースは始まった。
瞬間、覚悟した。 もう会えまい。
馬群が第4コーナーに至っても
まだ怒りを感じていない自分に驚いた。

僕たちの旅はこんな風に終わるのだ。
この時を前から知っていたような気がした。
オレンジ色の帽子がふたつ、群れの真ん中から飛び出してくる。
シーキングザパールと、ブレーブテンダー。
生年月日も生まれた国も同じ二頭だと知っていたが、
走る姿までも似ているとは。
一着がどちらなのか、僕の位置からじゃよく見えない。
「どっちがどっちでもよかったんだ」 突然思った。
僕が永井で、永井が僕だったかもしれない。

でも正門を出たところに永井はいた。
「時間を間違えた」 やっちまった、という表情。
「四百万円は?」
「だから増えてないって」 バッグに永井は目をやる。
「大損したよ馬鹿!」 大きな声が出た。
「でもプラスマイナスゼロだから」
ちがうよ馬鹿、俺の気持ちが、だよ。
言いそうになったが、言ってたまるかとも思った。

アニメ化しようぜ(;´Д`)

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