井伏さんは、浮かぬ顔をしてそう答え、即座に何やらくしゃくしゃと書き、私の方によこす。 「島山鳴動して猛火は炎々と右の火穴より噴き出(い)だし火石を天空に吹きあげ、 息をだにつく隙間もなく火石は島中へ降りそそぎ申し候。大石の雨も降りしきるなり。 大なる石は虚空(こくう)より唸(うな)りの風音をたて隕石(いんせき)のごとく 速かに落下し来(きた)り直ちに男女を打ちひしぎ候。小なるものは天空たかく舞いあがり、 大虚を二三日とびさまよひ候。」 私はそれを一字一字清書しながら、天才を実感して戦慄(せんりつ)した。私のこれまでの 生涯に於て、日本の作家に天才を実感させられたのは、あとにも先にも、たったこの一度だけ であった。 これって痛烈な煽りなんだってな(;´Д`)参考文献の丸写しとかなんとか