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2015/02/14 (土) 23:43:02        [qwerty]
歳の離れた弟が居る
早くに両親を亡くし、俺は大学を辞めて工場に勤めライン工になった。
せめて弟は大学は出させてやりたいと思い必死に働いた。
仕事はキツく、贅沢なんてまったく出来なかったけど、
弟には惨めな思いをさせたくないと、必死に頑張ってきた。
弟はダメ兄貴な俺には似つかず努力家の出来たヤツで、
勉強して某国立大を無事卒業し、第一志望の企業に就職を決めた。
勤務先の関係で弟は家を出て別々に暮らす事になった。
最初は毎晩掛かって来た電話も、仕事が忙しいのか日に日に減っていった。

先日久しぶりに弟から電話があった。
「兄ちゃん、今週の日曜日家におるか?」
何か緊張している様子が感じられた。
「おるよ?なんかしたんか?」
「じゃぁ日曜日行くよ。家におってな」
電話は切れた。
日曜まではロクに仕事が手につかなかった。
何かトラブルに巻き込まれたんだろうか・・・いや、あいつに限って・・・
悶々としながらも日曜がやってきた。

ピンポーン
ドアチャイムが鳴り開けるとそこには弟と、とても愛らしい娘さんが居た。

目を丸くしながらも、ボロアパートの部屋に招き入れると弟ははにかみながら、
「こちら○○さん、俺ら結婚するんだ。」

驚いて言葉が出なかったが、やがてボロボロと涙がこぼれてきた。
「おめでとう!おめでとう!○○さん、どうか弟をよろしくお願いします。」
ちょっと若い頃のおふくろの面影を感じさせるその娘さんも、
「はい、こちらこそよろしくお願いします」と目を潤ませていた。

それから俺は飲めない酒を出して3人で弟の昔話とかして夜遅くまで楽しい時間を過ごした。
泊まって行けと言ったが、明日も仕事だからと2人は帰っていった。

一人になった部屋で仏壇に線香をあげ、両親に報告した。
「父ちゃん、母ちゃん・・・あいつ結婚するんだって。すごいいいお嫁さん見つけてきたよ。」

ささやかな宴の片付けをし洗面所に行くと、鏡にはもう決して若くはない、
白髪交じりのおっさんの涙でくしゃくしゃになった顔があった。

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