下へ
2006/05/14 (日) 11:02:23        [qwerty]
その一つの事例が「新しい歴史教科書をつくる会」だったと思い
ます。私は学生との共著の中でこの会を調べましたが、会の一般参
加者は商工会のボスなどの動員ではなく自発的な意思で集まってい
ました。そして一般参加者の多くは無党派層で、もとは右派思想の
持ち主ではなかった。
しかし彼らは現在の社会や価値観の変化に漠然とした不安を覚え、
よりどころを求めて会に集っていたのです。
無党派層がよりどころを求めて特定の場に集ってくるという現象
は、最近の選挙にも見られます。
80年代までは、自民党は商工会や土建業者を、社会党は労組を基盤
として、中間共同体の組織票を集めてきた。ところが90年前後から
の選挙では、89年の社会党、93年の日本新党、95年の新進党、90年
代末の民主党というふうに、その時々の「風が吹いた」政党が、無
党派層の浮動票を集めて水膨れする現象が起きるようになった。
昨年秋の総選挙では自民党が勝ったわけですが、これはたまたま
自民党に「風が吹いた」だけで、自民党の従来の集票基盤は弱って
いると思います。その証拠は、「刺客」と呼ばれた候補が各地で
勝ったことです。従来の集票基盤を握っていたのは「刺客」に負け
た地元政治家だったはずです。つまり「刺客」が勝ったというの
は、もう自民党の従来の集票基盤は地方レベルでも機能不全状態に
なっていて、候補がテレビに出て浮動票を集めるしかなくなったこ
とを示しているといえます。

上へ