稚児とは衆道(男色)の愛人のことだ。土佐では、とんとという。 土佐、薩摩などという南国の武士は、なおこうした戦国の悪風を残していて、 若侍のあいだでは衆道が日常茶飯のことになっている。 稚児をとられて刃物沙汰になることが多い。土佐の若侍の唄にある。 おらが稚児(とんと)に触れなば触れよ 腰の朱鞘はだてには差さぬ まったくこまった蛮風だが、この悪習はほんのニ、三十年前まで土佐に残っていて、 この唄などは、高知の海南学校(旧制中学)では校歌のようにして唄われていたそうだ。