2000/03/03 (金) 16:24:13      [mirai]
それは不毛だった毎日。大学にも行かずそれを叱る人も存在せず昼夜逆転する毎日。
気が付けばそこに居た。自分が存在出来る場所を見つけた秋の日の事だった。

大学入学祝いで買い与えてもらったパソコンでは基本的操作を身に付けてはみたものの、
使い道と云えば毎晩テレホに馴合いチャットをしているような生活だった。相手に気を
使い場の雰囲気を読まなければならない。最初はそれでも楽しかった。即座に自分の言
葉に反応する顔も知らない何も知らない電話回線の向こうの人間。今までの自分独りで
黙々とプレイするテレビゲームでは味わえない生の反応。しかしそう思える事も無くな
っていく。ネットでも引き篭もる。ワレズを落とすだけの毎日。それが今年の夏の日。

9月の末くらいだろうか。どういう経緯で着たかは定かではないけど、そこに俺は常駐す
るようになった。次々と現れる空白の書き込み、ここでは自分も空白となり空白という
存在に同化できる。それは例え古参であろうと自分のような新参であろうと全ては空白
であり何の意味も持たない。まるで人類が補完された姿のような錯覚を俺は何度も受けた。
ここに居ればいい。そう思う18歳引き篭もりの秋の日の事だった。

この世界にはいろいろなルールがある。もちろん全てが知りたくて過去ログも読み漁った。
一行チャットから始まり今のような世界へと変遷していく様を読んでいく度に心臓はドキ
ドキだった。あの頃、中学3年生のときにエヴァンゲリオンを見ていた自分を重ね、あの頃
の自分がここの存在を知っていれば、世間的に見れば今より悪い方向と言えど人生は変わっ
ていただろう。

高校中退し大検取得し3流私大に合格し引き篭もり、テレホに加え昼まで常駐気味になる
自分が居た。
自分の名前があるいわゆる表サイトと呼ばれるようなものも有りはしたが、特に活動はし
ていなかった。数少ない仲間内、それは2~3人の付き合いだった。書き込みもカウンタも
増えないメールもこない、一応存在するだけの場所となり結局自分の居場所はIIだけだっ
た。何も得れない毎日だったのかもしれない。しかし自分にとってそれは最高の日々なの
かもしれない。でも決めていた。今はこの生活を続けても、2年生になる4月からは真面目
に学校へ行こうと。しかしそれを前に、自分にとってもそしてIIにとっても絶対的な管理
人であるAGStarが消えていく。

あやしいわーるどにはIIの他にも書き込みが多い掲示板はあった。しかしそこの空白達と
補完し合えるようには確実になり得ない。他にも2chという大きな掲示板の集合体もあった。
やはりそこに自分の入る隙間は無かった。俺は駄目なんだ。仲間が空白が居て、そしてAGStar
という存在が無ければ駄目なんだ。ときには新参扱いされても、逆に新参扱いしても、嫌な
奴を罵倒しても罵倒されても、マジレスしてもマジレスを要求しても、その全てがAGStarと
いう存在があり自分も空白として入り込めたのだ。今思うことは、ただ、ただもう一度頑張
ってもらいたいという事なんです。しばさんの管理する板が立ち上がるまで続けるんじゃな
かったんですか!

昼間にする事も無くて、なんとなく回線を繋ぎ、行く場所はひとつだけ。

「AGStarいる?」

「いるよ」

この光景が永遠のものになりますように・・・