2000/03/08 (水) 03:49:16 ▼ ◇ [mirai]蒸し暑かった夏と民宿でのアルバイトが終わりに近ずいた時、一組のカップルが泊った。
どう見ても高校生だった。(こ、殺してやろうかと思った。)
午後4時ごろ、何時ものように巨大なお釜の中にある米をといていた。
そこにパトカーのサイレン!
浜辺の方にパトカーが走って行く。
・・・不幸の匂いが。
・・・・微 笑 み。
ハイエナ野郎の私は、とにかく浜辺に向かった。
あの高校生のカップルだった。
怪訝な顔をしている警察達に、彼らは必死に何かを訴えていた。
・・・勘違い?
どうやら あの高校生カップルの勘違が原因で、浜辺は大騒ぎになったらしい。
その日の夜、布団をひくために高校生カップルの部屋に行った。
警察に絞られたのか二人はかなり落ち込んでいた。
(この後、○○○とか×××とかしやがるんかな~、クソー!)と
怒りを隠しながら布団をひいていると、
男の方が何か言いたそうに、私を見ている事に気付いた。
・・・・不幸の匂いが。
・・・・微笑み。
少しだけ切欠を与えてやった。
彼が体験した「あっちの世界ゾーン」とは・・・。
彼らはやはり高校生だった。
宿帳には、嘘の名前や住所を書いて泊っていた。
浜辺では、警察達に、その事をごまかす為に苦労したらしい。
・・・しかし、警察を呼ばなくてはいけなかった。
その時はそんな事を考えている余裕がなかったのだ。
彼は水泳部員だ。
泳ぎには自信があった。
平泳ぎなら、数キロは難無く泳げるらしい。
日差しが弱くなって来た午後の4時ごろ、
砂浜で体を焼いている彼女を残して、彼は海に飛び込んだ。
百メートルは、泳いだだろうか?
浜辺の方を見ると、人々が小さく見えていた。
「浜辺に戻ろう。」
背泳ぎで、ゆっくりと岸に向かっていった。
突然、嫌な気持ちが彼を襲った。
「恐怖」
得体の知れない「恐怖」。
何故かわからないが、恐いのだ。
右足が痙攣!
彼が水泳部員ではなければ、パニックに陥り溺れていたかもしれない。
彼は何とか立ち泳ぎに代え、右足を揉んだ。
本来ならゆっくり右足を揉みほぐせば良いのだが、
得体の知れない「恐怖」の為に、出来るだけ早く此所から去りたかった。
ゆっくりと平泳ぎで岸に向かって泳ぎ始めた。
得体の知れない「恐怖」が、段々大きくなって来た。
早く岸に!
回りには誰もいない。
岸までかなりある。
「恐い、恐い、恐い。」
「恐怖」に絶えきれなくなって来た。
そして、泳ぎながら足元を。
「絶句!」
黒く腐った土左衛門!
海の底に、仰向けでブクブクに膨らんだ土左衛門!
黒く膨らんで腐った男の顔が、彼を見ていた。
パニック!!
数メートル下で、腐った土左衛門が俺を見ている。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
必死に岸辺に向かって泳いだ。
・・・疲れた。
無茶苦茶疲れた。
クロールが出来ないくらいに疲れて来た。
まだ、岸まではかなりある。
だめだ・・・。
平泳ぎに代えて泳ごうと下を見ると、あの土左衛門が!
今度は、手を伸ばせば届くぐらい近くに!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
彼と一緒に、仰向けの状態で土左衛門は泳いで来たのか?
そんな馬鹿な!
彼は土左衛門を蹴った。
「グニュ!」
嫌な感触が・・・。
パニック!
叫びながら岸に!
どうやって岸まで泳ぎついたのか、彼は覚えていなかった。
浜辺にいた彼女は、
彼が泣き叫びながら海から上がって来たので驚いた。
「水死体だ!」
彼のその言葉で、浜辺はパニックになった。
警察が遣って来た。
しかし、土左衛門は発見されなかった。
彼は今でも足に、あの嫌な感触が残っていると言った。
そして、私に彼らは「どうしたらいいのか?」と聞いて来た。
私は「御払をしてもらうまで泳がない方がいい。」と答えた。
帰るまでの3日間、彼らは砂浜にいるだけで海には入れなかった。
その姿を見て、私は少しだけ「悪魔の微笑み」を・・・。
そして心の中で呟いた。
「楽しい夏の思い出ができてよかったね。は~と」と・・・・
夏だ!海だ!土左衛門だぁぁぁぁぁぁぁぁ!