2000/04/14 (金) 23:58:46 ▼ ◇ [mirai]頭では上手くなっているような気がするのに目がそれを受け付けないのは何故なんだろーと思いながら川原泉さんの「ブレーメン2」(白泉社、630
円)を読む。「アンドロイドはミスティ・ブルーの夢を見るか」だかの続編らしー物語で凄腕の航宙士につけられる「イレブン・ナイン」の尊称を持つキラ・
ナルセが雇い主の社長に言われて人手不足の中で知能を進化させたドーブツたちがクルーを務める宇宙船のテスト航行に乗り出すってな展開は、
不思議なことでも強引に進めてしまう川原さんならではの力技が相変わらず発揮されてて、ドーブツがあっさりと進化してクルーになり、そんなクルー
たちをあっさりと深く考えもせずキラ・ナルセは受け入れてしまい、火星人は出て悪魔なんてのも出て来そうでもうなにがなんだか。それでいて差別の
問題とかをしっかりと語ってしまえるあたりの「物語力(ものがたり・ちから)」は全然前と変わっていない。
じゃあ受け付けないのは何ってそれは絵。線がほそーくなって見た目は綺麗になっているけれど、シリアスになった時の顔の能面っぽさとか目の生
気のなさがどうにも気になって仕方がない。前より多分いっぱいシリアス顔が出てくるってのもあるけれど、たぶんタッチも変わっていてそれが違和感
につながっているのかもしれない。デフォルメ調になった時の雰囲気はほとんど昔のままだし。それにしても「Cビーフ」はお笑いとしても進むバイオテ
クノロジー、やがて人間以上の知恵と力を持ったドーブツが出て来ないとは断言したいけど希望はちょっとくらいはある訳で、そんな時に使えなくなる
諺の多さにはやっぱり人間の自分中心な考え方が浮かび上がる。「月とスッポン」「ネコババ」「狸寝入り」「狐の嫁入り」「飼い犬に手を噛まれる」「鳥
なき里の蝙蝠」。あれれ1つヘンなのが交じってるぞ。