2000/05/06 (土) 00:15:09 ▼ ◇ [mirai]今夜のニュース・ステーションで西鉄バス・ハイジャック事件に関連して、インターネッ
ト上で犯人の顔写真が大量に出回っているということに触れていた。一つは、早い時期か
ら指摘されていたもので、読売ストリーム・サイトのスライドショーに犯人の顔がはっき
り映っているものが含まれていたため、これを拡大し画像ファイルとしてあちこちのサイ
トにアップロードした「匿名」の人物たちがいる、というもの。二つめは、海外サイトの
ニュースページ上でかなり鮮明に顔が判別できる画像が表示されていたもので、通信社が
「誤って」配信したものであるとしている。この画像が出回っているのも「匿名」の人物
によるものと決めつけていた。
コメンテーターは、「匿名」は「卑怯」であると強く非難し、「私は自分の名前で発言し
ている」旨の発言をし、「インターネットでは個人が特定できるように規約を変えるべき
だ」と訴えた。それを受けた久米宏は「私も自分の名前でしゃべっています」と話した。
久米については2chなどでも誹謗中傷がひどく、インターネット以外でもその傾向は多
いため、その気持ちはある程度理解できる。あえて「理解できる」としたのは、ニュース
のシナリオを書くのは「裏方」であり、それを効果的に報道するのが久米の立場であり、
多少そのシナリオに関わっていたとしても、あくまでメインは「裏方」であるからだ。
マスメディアは「第四の権力」と言われて久しい。
「権力者」は「特定」されなければならない。強い影響力を持つ「実権者」はその名の下
に権力を行使しなければならない。
しかし、実態はどうだろうか。テレビも新聞も、そのメインの「シナリオ」を作成した者
の氏名を公表せず、「組織」の立場から報道している。新聞などで海外では当たり前であ
る「署名」記事はほとんどみられない。大本営発表時代となんら変わっていないのだ。こ
れを「卑怯」と言ってしまっては生やさすぎる。その影響力によって、社会的抹殺や命そ
のものの危険を被る人が出る可能性が高いからだ。
まず、今回の「顔写真」漏洩は、マスメディア側の「不注意」から派生したものであるこ
とを自覚するべきである。漏洩した以上、インターネットで情報が飛び交おうが、プリン
トされた写真が出回ろうが、同じことである。神戸小学生惨殺事件の際も同様であった。
犯人の氏名などのプライバシー情報をあの時点で知り得たのは、マスメディアしかありえ
ない。もちろん警察当局が最も情報を持っていたはずではあるが。神戸事件でプライバシ
ー情報をインターネット上に流したのは、マスメディア関係者であるという疑いを私は未
だに強く思っている。しかも、「イエロージャーナル」ではなく、大マスコミの一角に所
属する者による仕業であると。これを「卑怯」と言わずしてなんとしようか。
最後に一言書いておきたい。コメンテーターが「匿名性を奪え」と考えたことは、すでに
その方向性が決まっている「国民総背番号制」の考え方を補完するものである。