2000/05/08 (月) 05:00:24      [mirai]
その町には夏が訪れていた。
 
人形を操るひとりの青年。
その周りには子供がふたりだけ。
観客の興味を引くには、青年の芸は退屈すぎた。
子供たちは興味を失い、その場を走り去った。 

青年は旅のひと。
彼の道連れはふたつ。
手を触れずとも歩き出す、古ぼけた人形。
「力」を持つ者に課せられた、はるか遠い約束。 


そんな彼に、話しかけるひとりの少女。    
人なつっこく、無邪気に笑う。

彼女との出会いをきっかけに、
この土地での暮らしが始まる。 
 
夏の情景に包まれて、穏やかに流れる日々。
陽射しの中で繰り返される、少女たちとの出会い。
夏はどこまでも続いてゆく。
青く広がる空の下で。
彼女が待つ、その大気の下で。