投稿者:6*9=54 2000/05/14 (日) 06:53:53 ▼ ◇ [mirai]セイくんは生まれて間もない精子です。立派な仕事をするために、今日は精子の学校に来ました。
「いいですか、みなさん。サイレンが鳴ったら、すぐにトンネルを抜けて泳ぎ出すん
です。ほら穴にたどり着くまで、とにかく一生懸命泳ぎなさい。1等賞を取らないと
意味がありませんよ。そしてほら穴の向こうに赤くて丸い卵子を見つけたら、すぐに
『こんにちは、僕は精子だよ』と声をかけなさい。すると彼女が『こんにちは、私は
卵子よ』と答えるはずです。こうしてめでたく出会えたら、あとは2人の共同作業
になります。ここまでの流れ、わかりましたか」
「はーい」
「では本番の日も近いことでしょう。みなさんよくおさらいをして、がんばるんですよ」
「はーい」
2日後、セイくんがウトウトしていると、突然サイレンが鳴り響きました。
「うわっ、いよいよだ!よーし、がんばるぞぉぉ!ランちゃんに会うんだい!」
先生に教えられた通り、セイくんはトンネルを抜けてがむしゃらに泳ぎました。仲間
たちが後からいっぱい追いかけてくるのがわかります。
「負けるもんか!ボクが1等賞とるんだい」
ひたすら泳いでほら穴の入り口にさしかかったとき、セイくんは2位以下に大差をつ
けて文句なしの1等賞。そうして赤くて丸い彼女を見つけると、やや緊張しながら
も、せいいっぱいの笑顔で言いました。
「こんにちは!ボクは精子だよ!」
彼女も笑顔を返してくれました。
「あらこんにちは。私は扁桃腺よ」