2000/06/14 (水) 07:29:58      [mirai]
 予想・その2
       ヒデユキの真のサイダネ、それは人助けの才能だった。
      「分かってよかった、さあ入れよう」
      「待って下さい神様。事態はそう単純ではないのです」
       実は事故で亡くなっていたヒデユキの父。しかし本来ならその寸前、ヒデユキの才能が目覚めて父を救
      うはずだったのだ。
      「そうか。では事故の前に戻ってサイダネを入れなくては」
      「オイラが行くよ」
       進んで危険な時間旅行に志願するテンテン。思い出をこわした償いに、父をヒデユキに返す心意気。神
      様も感動。またも時間移動が行われ、アクシデントがあるものの事故の寸前にサイダネ注入、ギリギリで
      父親救出。
       場面変わって現在。壊れた機関車を手にして見つめているヒデユキ。
      「おい、ヒデユキ」
      「あ、お父さん」
      「あれ? それお父さんが昔買ったやつだろ。お前まだ持ってたのか」
      「うん……」
      「物持ちいいなあ」
       笑う父(顔は下半分しか出ない)
      「壊した覚えなんかないのに。いつ壊しちゃったんだろう」
      「それだけ長い間持ってれば壊れることだってあるさ。お父さんが修理してやろうか」
      「ほんと!?」
      「ははは、そんなに嬉しそうにするなよ。ま、物を大切にするのはいいことだけど」
      「だってこれは、特別な……」
       言いかけて止まるヒデユキ。何が特別なのか思い出せない。
      (何か……)
      「ヒデユキ?」
       不思議そうな父。
      (何か、大切な思い出があったような気がするんだけど)
       バックに走馬燈のように浮かぶ名場面の数々。
      (思い出せないけど、とても大切な……)
      「おい、何泣いてるんだよ」
       父が驚くが、ヒデユキの涙は止まらない。そんなヒデユキを窓の外から見ている、天使の羽をつけた1
      本毛の子供のシルエット。それが上空に飛び去って桜家の玄関前に落ちる一枚の白い羽……

                                                            「花さか天使テンテンくん」 完