2000/06/20 (火) 02:57:56 ▼ ◇ [mirai]その3
夕食をとったあと、俺は独り部屋で考えていた
栞を救う可能性のある方法を…
それが成功したとしても、栞の望む結果にならないことを…
それが俺にできる最大限のことだと知っていながら、
これまでやらなかったのは、二人で幸せになりたかったからだと言うことを…
やはり、栞には助かったもらいたい。
それが俺の出した結論だった。
思い立った俺は、2通の手紙を書いた。
一つは、水瀬家のみんな、秋子さんや名雪に宛てたもの、
もう一つは、栞に宛てたものだ。
内容は、これから俺がしようとしていること、
そして俺の気持ち、これからのこと…
読み返してみるとまるで、遺言のようで苦笑してしまった。
そして、みんなが寝静まった頃、俺は病院に向かった。
病院に着いた当初は、来たはいいがどうやって入ればいいか悩んだ
普通に入れてもらえるはずはないので、いろいろを見て回った結果
運良く、通用口が開いていた
そこから、栞の病室へと向かう…
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夢を見ていた、裕一さんと遊んでいる夢だ
何をしてるのかは分からなかったけど、幸せな気持ちでいっぱいだった。
不意に景色が変わる、あのいつもの噴水のある公園へと…
その瞬間、裕一さんに抱きしめられる
「ちょっと痛いですぅ~」
「ああ、すまん。あんまり栞が可愛かったせいでつい。」
「…でも、嫌ではないです…」
「じゃあ、もう少しこのままでいてくれ。」
「はい…」
何故かとても心が安らいだ、ああ、ここが私の居場所なんだと錯覚してしまうほどに…
そう思うと、涙が流れてきた、
これは夢なんだ…
もう裕一さんに抱きしめてもらえないんだ…
自分でも分かっているはずなのに…
「栞、泣いてるのか?」
「えぐっ…すいません、うれして、…もうどうしようないくらい、うれしくて…」
「そうか。」
「はい…」