2000/07/04 (火) 02:35:03 ▼ ◇ [mirai]NTTに求められる体質改善
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NTTの通信料金を巡って、日米間の協議が難航している。引き下げという点では一
致しているものの、両国間のせめぎ合いは、その時期と引き下げ率にある。米国側
は、2年間で22.5%、その後40%程度の引き下げを求めているのに対し、日本は4年間
22.5%の引き下げにとどまっている。
日本が引き下げを渋っている理由は、NTTの経営に影響をおよぼすから、というも
のだが、2000年3月期の決算では、当初の予測を上回る収益を出し、その主張にも
説得力がなくなってきた。むしろ、旧電電公社時代からの体質改善が進まず、余剰
人員が多いと指摘されるNTTが、リストラなどの企業努力をしているとは思えず、
それが直接、電話料金の高止まりにつながっているとの見方は、多くの識者に共通
する意見である。先頃、公正取引委員会が発表した報告書でも、「NTTの分割効果
は出ていない」との見解を明確に打ち出している。
その一方で、NTTはISDNの定額制の推進を発表し、お茶を濁そうとしている。NTT東
日本は、2000年度中に、県庁所在地級の都市では、定額制を提供できるようにした
いとの意向を表明、NTT西日本でも、2000年度中に静岡県以西の30府県において、
全市レベルまで定額制サービスを拡大する方針を明らかにしている。
ISDNは、64Kbpsあるいは128Kbpsでの接続が可能だが、この程度の接続速度では快
適である、とは言い難い時代がすぐそこまできているともいえる。画像や映像、音
声などを送受信するようになれば、決して快適にネットワークを使える状況ではな
い。
これに対して、通常の銅線を活用したADSLを利用すれば、640Kbpsでの高速データ
通信を実現、場合によっては最高8Mbps程度までの速度が出せるという。また、
CATVを活用したインターネット接続の場合にも、512Kbpsでの接続が可能になる。1
桁違うISDNの速度の遅さは明らかだ。
だが、NTTは、ISDNの敷設に伴う膨大な投資をしており、これを回収するためにも
ISDNの普及に力を注がなくてはならないという背景がある。そのため、ISDNに限定
した全日定額制を用意したり、ADSLを事業化しているベンチャー企業などが、ADSL
の接続交渉をしても、「東京100電話局、大阪市内20電話局での接続交渉をしてい
るが、その対応への動きがあまりにも遅い」(東京めたりっく通信)という、まさに
牛歩戦術のような状況だ。ADSLが普及してしまえば、IDSNの利用者が減少してしま
うのは目に見えている。そのため、ADSLに対しては、動きが鈍いというわけだ。
さらに、最近のマンションやオフィスビルのまわりは、ほとんどが光通信網で固め
られており、これまでのような銅線が敷設されていない。そのため、ADSLが使用で
きないばかりか、高速度のADSLを使用するためには、あらためて銅線を引かなくて
はならない、という本末転倒のような事態も起こっている。極論的な言い方になる
が、物理的にADSLを利用できる環境を少なくしているともいえるのだ。
NTTは、もともと通話利用を前提とした回線料金設定と、企業体質づくりを志向し
てきた。だが、インターネット時代になり、その料金体系と企業体質は時代にそぐ
わなくなってきたのも事実だ。それに気がつき、早く体質改善をすべきである。通
常の企業ならば、そうしなければ生き残れない。それにもかかわらず、これに乗り
出さないというところが、NTTの問題点であり、ひいては、情報武装の遅れを容認
せざるを得ない日本のアキレス腱につながる問題となるのだ。
NTTマジ氏ンでくれ(;´Д`)