2000/07/14 (金) 04:50:30      [mirai]
中山からすこしはなれた山の中に、「ごん狐」と言う狐がいました。
ごんは一人ぼっちの子ぎつねで、しだのいっぱいしげった森の中に住んでいました。
そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出て来ていたずらばかりしていました。

ごんは、兵十がいなくなると、びくの中の魚を川にぽんぽん投げこみました。
最後に頭をびくの中につっこんで、うなぎを口にくわえました。
そのとき向こうから、兵十が「うわぁ、ぬすっと狐め。」とどなりたてました。

「あぁ、葬式だ。」ごんは、六地蔵さんのかげにかくれていました。
墓地には、彼岸花が赤い布のように咲きつづいていました。
「死んだのは兵十のおっかあだ。」「兵十のおっかあは、うなぎが食べたいと言ったに違いない。」