2000/07/14 (金) 04:51:34      [mirai]
兵十は、おっかあが死んでしまってはもう一人ぼっちでした。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」ごんはうなぎのつぐないに、山で栗をひろってこっそり入口におきました。
次の日も、その次の日も、栗や松たけを持って行きました。

月のいい晩でした。
ごんは、ぶらぶら遊びに出かけると、道の向こうから話し声が聞こえます。「なぁ、加助。このごろとてもふしぎなことがあるんだ。」「おっかあが死んでから、だれかがおれに栗や松たけをくれるんだよ。」

あくる日もごんは、栗をもって行きました。
兵十は、ごん狐に気づくと、火縄銃をとってうちました。
「おや、ごんお前だったのか、いつも栗をくれたのは。」
ごんはぐったりと目をつぶったままうなずきました。