2000/07/14 (金) 04:57:27      [mirai]
1 ナレーター 千葉の花和村に「べろだしチョンマ」というおもちゃがある。 
2 ナレーター チョンマは長松がなまったものでこのとんまな人形の名前である。 
3 ナレーター 人形は両手を広げて十の字に立っている。 
4 ナレーター そして背中のひもを引っ張ると、眉毛が 
5 ナレーター 「ハ」の字に下がって、べろっと舌を出す 
6 ナレーター 見れば誰でも思わず吹き出さずにはいられない 
7 ナレーター 長松はもう十二でアンちゃんだから、妹の面倒を見てやらなくちゃならない。 
8 ナレーター 梅はまだ3つだし、しもやけがひどいから寝るときと起きるときには必ず泣く。 
9 ナレーター しもやけは崩れているので、手に巻いた布をとるときには 
10 ナレーター お湯の中に手を浸し手からとるんだが、うみでべっとりくっついているから泣くのもしかたがない。 
11 長松 ほら、梅 手をかしな 
12 梅 いやだ、いたいもん 
13 長松 いたくねえよ、ほら、、、。 
14 梅 いてーよー、いてーよーー。 
15 梅 母ちゃん、母ちゃん 
16 梅 母ちゃんだったら痛くないもん、母ちゃん、えーーんえーーん 
17 長松 泣きてえのはこっちの方だよ、、、。 
18 ナレーター けれども、この頃は父ちゃんも母ちゃんも忙しそうなので梅の面倒を見てやるのは長松しかいない 
19   ある時長松はうまいことを見つけた 
20   梅の手から巻いた布をはがすとき、梅が泣き出しそうになったら 
21 長松 梅、見ろ、アンちゃんのつら、、、。 
22   :眉毛とべろを出した長松の顔 
23 梅 あはは、あははは 
24 ナレーター 梅は泣き出しそうに涙がいっぱいたまった目で思わず笑い出してしまう 
25   そこをすかさず、素早く布を引っぱがしてしまうのだ 
26   それでもうみがたくさんでてあんまり痛いときにはポロポロッと涙を頬にこぼした。 
27   こぼしたが笑い声をあげずにはいられなかった。 
28   アンちゃんの顔はそれほど間抜けたつらになるのだ。