2000/07/14 (金) 04:58:29 ▼ ◇ [mirai]30 長松 梅、いい子だから泣くな、、。油薬を塗ってやるから手を出せ
31 梅 うん
32 長松 楽になったか、
33 梅 うん
34 ナレーター 梅はようやくとこへはいってすやすやと眠る。
35 梅 母ちゃん、母ちゃん、むにゃむにゃ
36 ナレーター けれど長松は眠れない、、、。
37 子供でも十二だから、少しは父ちゃんや母ちゃんや村の衆の心配がわかる。
38 長松 また今日もおじさんたちが集まってる、、。
39 ナレーター
長松は聞くともなく話に耳を傾けた
40 父ちゃん
やはり、この村だけが年貢がきびしい、、。去年よりも多く出せといっている
41 農民1 もうこうなったら、逃散だ!!
42 農民2 いっそ打ち壊しでもやっか?
43 農民3 強訴するべ
44 父ちゃん いや、待て待て短気を起こしてはいかん
45 ナレーター 大人たちは年貢の相談をしているのだ
46 長松 今年の年貢がなぜ去年より多くなんなきゃいけねえんだろう
47 母ちゃん 長松、、。子供のあんたがそんな心配しなくてもいいんだよ。
48 長松 逃散てなんだ?
49 母ちゃん しっ、なんておっかないことを、、、。
50 他にいってしゃべったら、大変なことになるよ、、。
51 ナレーター 長松は胸がどきどきしてきた、、。
52 長松 あんな母ちゃんの顔、いままでみたことのねえ、おっかねえ、おっかねえ、、。
53 ナレーター 逃散、強訴、打ち壊し、それらの言葉よりもっともっとおっかない母ちゃんの顔が長松の頭にこびりついた。
54 母ちゃん
長松、梅はいうことを聞いてるかい、、。
55 長松
うん、しもやけが痛くてよくなくけんど、おらいい方法見つけたんだ、、。母ちゃん見てみろ俺の面あ、、。
56 長松
べろっと舌を出し、眉をへの字に下げた顔、、。
57 ナレーター
母ちゃんは思わず、笑った、、、。笑いながら、涙を一つポロッとこぼした、、。
58 長松
いつもの母ちゃんの顔だ、、。よかった、よかった、、、。
59 ナレーター
長松はほっとして、眠りについた、、。母ちゃんがポロッとこぼした涙には気づかずに、、、。
60 ナレーター
父ちゃんたちの話し合いは、さっきよりも声が低くなっていつまでも続いた、、。