>  2000/07/14 (金) 05:26:53      [mirai]
>  帰り道。
> 「……お兄ちゃんはやりたいことってないの?」
>  唐突に加奈が聞いてきた。
> 「やりたいことねえ……ま、大学で探そうと思ってるけど」
>  自分の人生というものについて考える、いい機会なのかも知れない。今までは、自分のことに気を使う精神的ゆとりがなかったように思えるから。
> 「……わたしのせい?」
> 「え?」
> 「わたしがいるから、お兄ちゃん、何もできないの?」
> 「どうしたんだよ、突然」
> 「だって、お兄ちゃんの友達、みんな自分のやりたいこと持ってて……なんか楽しそうで……もしお兄ちゃんの人生をわたしが台無しにしてるんだったら……わたし……」
> 「馬鹿! そんなことないさ。加奈のせいなんかじゃない! 俺はこれっぽっちも負担なんて感じてないんだ。俺たち兄妹じゃないか。同じ血が流れた兄妹だよ。助け合って当たり前だ」
 「うひゃあああぃぃぃっ!!く、臭いぃぃ!!すごおおいい
    っ!!臭くて、汚いのぉ!!あああん!最高よぉ!!ウ
    ンチっ、ウンチたまらないっ!!ああっ!まだよぉ!!い
    っぱい出るぅ!!あかりぃ!見てるぅ!あたしも、あたしも
    ウンチ愛してるうぅっ!!汚い下痢グソ愛してるぅぅーーー
    ーっ!おごおおおっあがはあああーーーーっ!!」
> 「……」
>  加奈はそれっきり押し黙ってしまった。
>  二人は歩く。卒業式の後、両親と加奈と行動する予定だったから、自転車は持ってきていない。
> 「わたしね……強くなりたい」
>  ぽそっとつぶやいた。
>  加奈は今まで見せたことのないような、焦燥と困惑の混じった顔を俺に向けた。
> 「……二人で制服で帰りたかったな」
> 「……そうだな」  加奈が俺の腕に自分のそれを絡めた。
>  どきっと、少し心臓が跳ねた。
>  歩き出す。
>  俺が普通に歩くと、加奈はすぐに足取りを崩す。だからこちらは、歩調を普段の半分ほどに抑えなければならない。
>  歩くたびに、加奈の胸が腕に感じられた。ちょっと前までは華奢なだけだった加奈の胸も、今ではすっかり柔らかい膨らみへと発達しつつある。
>  加奈を見る。
>  どんどん女らしくなっていく加奈。本当に、一日ごとに劇的に成長している。肉体的にも、精神的にも。
>  ……そう思っていたんだ。


参考:2000/07/14(金)05時22分12秒