> 妹の目をみるのがつらい ごそ……。 ごそごそ……。 不審な物音と……そして気配。 「……ん?」 誰かが、俺の布団にもぐりこもうとしていた。 「こら……加奈だな!」 「あは……」 悪戯めいた調子で、くすくす笑いはじめる侵入者は……加奈の香りがした。 「駄目だって言っただろう!」 「もう……入っちゃった……」 声は俺の胸のあたりからした。 どくん。 心臓の音が加奈に聞こえるはずはないだろうが、瞬間的に身を離した。 「あったかい……」 「加奈!」 「……駄目?」 暗くて見えるはずはないのだが、加奈の視線を感じた。ひたむきな、ただまっすぐに見上げる視線を……。 「勝手にしろ……」 それだけ告げて、俺は加奈の方に背を向けて、目を閉じた。 背中が最後の壁だった。 「迷うなよ……妹じゃないか……」 決して越えてはいけない壁に、近づいているような錯覚を覚えた。このままでは、遠からず触れることになってしまう。触れれば、それを越えようとしてしまうかも知れない。 参考:2000/07/14(金)13時56分12秒