つややかな長い黒髪が朝の光を跳ねて、きらきらと輝いて見えた。 相変わらず目を見開いてしまうほどの美人だ。 とかく綺麗な顔の女性というものは、冷たい印象で受けとられがちだが、 この千鶴さんという人は不思議とそんな零囲気を微塵も感じさせない。 千鶴さんは仕種や性格も可愛らしい、とても穏和な女性なのだ。 なんせ、それで刑務所の看守を騙したようなものである。 「…そんなコト考えてると、刺しちゃいますよ」 千鶴さんは小首を傾げると、目を細めて、くすっと微笑んだ。 …こ、怖いよ。