「…奇妙な夢って、どんな夢なんですか?」 感慨にふけってしまった俺を気にしてか、千鶴さんが訊ねてきた。 「えっ? 内容?」 「ええ、私こう見えても心理学をかじったこともあるんですよ。 耕一さんが見たその奇妙な夢の内容、私が診断してあげましょうか?」 千鶴さんは悪戯っぽく笑った。 どうもこの声で迫られると、否応なしに全てを語ってしまいそうな衝動にかられてしまう。 「実は千鶴さんが出てくる夢で…」 俺は俯いて布団を見つめたまま、呟いた。 「…えっ? わたしが?」 きょとんとした表情をする。 「うん、それはもう恐い夢だった」 少し間をおいてから、千鶴さんはようやくその意味を理解した。 「…耕一さん! 私の出てくる夢が、跳ね起きるほど恐い夢なんですか!?」 ギロリと睨む。 「じょ、冗談だよ」 「も、もう、ヒドイです!」 千鶴さんは口を尖らせて、ぷいっとそっぽを向いてしまった。 「冗談なわけありません!! 私が出てくるなら、耕一さんにあんなコトやこんなコトをしているはず…」