2000/08/10 (木) 05:02:57 ▼ ◇ [mirai]日本航空アシスタント・パーサー落合由美さんの証言(吉岡忍著「墜落の夏」新潮社より引用)
「そろそろ水平飛行に移るかなというとき、「パーン」という、かなり大きい音がしました。
テレビ・ドラマなどでピストルを撃ったときに響くような音です。「バーン」はなくて、高めの
「パーン」です。急減圧がなくても、耳を押さえたくなるような、すごく響く音。前ぶれのよ
うな異常は、まったく何も感じませんでした。音は、私の席のちょっとうしろの天井のあた
りからしたように感じましたが、そこだけでなく全体的に広がったように思います。私は思
わず天井を見上げました。しかし、振動はまったく感じませんでした。機体も揺れなかっ
た。お客様からは、「うわっ」という声がした。女の人だと「きゃっ」という、一瞬、喉に詰ま
ったような声。騒がしくなるとか、悲鳴があがるということはありませんでした。耳は、痛く
なるほどではなく、ツンと詰まった感じでした。ちょうどエレベーターに乗ったときのような
感じ。しかし、それもすぐに直りました。」
「やはり「パーン」という音と同時に、白い霧のようなものが出ました。かなり濃くて、前
のほうが、うっすらとしか見えないほどです。私の席のすぐ前は、それほど濃くはなかった
のですが、もっと前の座席番号「47」「48」あたりのところが濃かったように見えました。
ふと見ると、前方スクリーンの左側通路にスチュワーデスが立っていたのですが、その姿
がかすかに、ボヤーッと見えるだけでした。その霧のようなものは、数秒で消えました。
酸素マスクをして、ぱっと見たときには、もうありませんでした。白い霧が流れるような空
気の流れは感じませんでした。すっと消えた、という感じだったのです。匂いはありませ
んでした。こうした白い霧というか、靄のようなものが出るのは、急減圧の場合の現象だ
、ということも、もちろん訓練のときに教わっていたことでした。はじめはスチュワーデスも
それぞれ自分の席に座って酸素マスクをしていましたが、しばらくして、お客様のマスクを
直したりして、まわっていました。そのときは、エキストラ・マスクをひっぱって、口にあてて
いました。マスクのチューブは伸ばすと、けっこう伸びます。三列くらいはひとつのマスクを
つけたまま、まわっていたようでした。このときも、荷物が飛ぶということもなく、機体の揺
れはほとんど感じませんでした。」