2000/08/11 (金) 01:20:57 ▼ ◇ [mirai]『墜落直後に、「はあはあ」という荒い息遣いが聞こえました。一人でなく、何人もの息遣いです。そ
こらじゅうから聞こえてきました。まわり全体からです。
「おかあさーん」と呼ぶ男の子の声もしました。
次に気がついたときは、あたりはもう暗くなっていました。どのくらい時間がたったのか、わかりません。』
(中略)
『どこからか、若い女の人の声で、「早くきて」と言っているのがはっきり聞こえました。あたりには荒
い息遣いで「はあはあ」と言っているのがわかりました。まだ何人もの息遣いです。
それからまた、どれほどの時間が過ぎたかわかりません。意識がときどき薄れたようになるのです。』
(中略)
『突然、男の子の声がしました。「ようし、ぼくはがんばるぞ」と、男この子は言いました。学校へあがっ
たかどうかの男の子の声で、それははっきり聞こえました。しかし、さっき「おかあさーん」と言ったこと
同じ少年なのかどうかは、判断はつきません。』
(中略)
『やがて真暗ななかに、ヘリコプターの音が聞こえました。あかりは見えないのですが、音ははっきり
聞こえていました。それもすぐ近くです。これで、助かる、と私は夢中で右手を伸ばし、振りました。け
れど、ヘリコプターはだんだん遠くへ行ってしまうんです。
帰っちゃいやって、一生懸命振りました。「助けて」「だれか来て」と、声も出していたと思います。あ
あ、帰ってゆく・・・・・。
このときもまだ、何人もの荒い息遣いが聞こえていたのです。しかし、男の子や若い女の人の声は、
もう聞こえてはいませんでした。』
(中略)
『涙はでません。全然流しませんでした。墜落のあのすごい感じは、もうだれにもさせたくないな。
そんなことを考えていました。そして、また意識が薄れていきました。
気がつくと、あたりはあかるかった。物音は何も聞こえません。全く静かになっていました。生きて
いるのは私だけかな、と思いました。でも、声を出してみたんです。「がんばりましょう」という言葉が
自然に出てきました。返事はありません。「はあはあ」という荒い息遣いも、もう聞こえませんでした