あちぃ。例によって冷凍マグロよろしく部屋の真ん中に微動だにせず寝そべり、これは何も知らない人間が訪れればすわ死体がと動揺するんだろうなあと笑えず且つ気の利かない冗 談ですらない譫言を口にさえ出せず脳裡で情景のシミュレートを展開しながらじっと時の過ぎるのを待っていたわけだが些か気温と湿度は度を越しており口腔は粘膜が本来の用途を全 うしてはおらず渇死寸前の人間の感覚というのは斯くなるものかと呻きつつ汗まみれの顫える手で半ば無意識に冷蔵庫を開ければ中身は素晴らしく空虚に満ち満ちており朦朧とした 意識でグラスに氷をぶち込んで取って置きのワイルド・ターキー十二年を惜しげもなくだぼだばだばだぼだぼと周囲に飛沫が散るのも厭わずに注ぎ込み氷が融ける暇もあらばこそがぶ がぶと飲み干せばアルコール五十度の百五十ミリリットルを一気呑みしたのだから至極当たり前の帰結として尚更に汗が止まらなくなり本当に指一本動かせなくなった。 これで一文というのはネタだと言ってくれないと困る