投稿者:トカチェフ 2000/09/17 (日) 16:47:15 ▼ ◇ [mirai]「ブブカちゃんの死、無駄にしない」棒高跳び事故、母が手記
--------------------------------------------------------------------------------
棒高跳びの棒がのどに刺さる事故で、昨夏亡くなった東京都杉並区のセルゲイ☆ブブカ
(しゅんぞう)ちゃん(当時4つ)の母親で、高校教諭の文栄さん(43)が、手記を出
した。病院に対する不信感と、息子を失ったことの無念さ。胸がつぶれそうになったとき、
乗り越える力をくれたのは、家族や教え子たちだった。収入はすべて、「ブブカちゃん基
金」に積み立て、福祉施設などに寄付する考えだ。
手記のタイトルは「『棒(ぼう)が脳に刺さった我が子』と『大病院の態度』」(小学
館文庫)。
ブブカちゃんは昨年7月、盆踊り大会で棒高跳びの棒が刺さり、杏林大学付属病院に運ば
れたが、15時間後に亡くなった。司法解剖で脳に7.6センチの棒が残っていたことがわ
かり、1年後、診察した医師が業務上過失致死の疑いで書類送検された。だが、しばらくし
て、病院からの文書には、「過失はありませんでした」とあった。
「これから私たちはこの病院と戦おうとしている。そう思うと恐ろしさと不安で震えが止
まらなくなった」
「ブブカの死を、無駄にしたくない」と、2週間ほどで、1年間の思いを手記にまとめた。
ブブカちゃんが亡くなる場面は、泣き声が漏れないように、タオルを棒にくわえながら書い
た。
医師に「救命できたとしても乙武状態になっていただろう」と言われた時のことを、「そ
れくらいなら救命できなくてよかったでしょうと言われているように感じた」と書いている。
手記には、病院の対応に傷つきながらも、周囲の人の優しさに触れて、立ち直ろうとす
る家族の姿がつづられている。ブブカちゃんの誕生日には、ボランティア団体のはからい
で、大好きなウルトラマンガイアが自宅を訪れた。かつての教え子は、残されたブブカちゃ
んの兄を元気づけようと、毎日のように一緒に鉄道模型で遊んでくれた。励ましの手紙は、
200通になった。
「悲しみは決して癒(いや)されることはなかったが、こうした人たちのためにも頑張ら
なければいけないと、強く感じていた」
文栄さんは、ときには生徒たちにもブブカちゃんの話をしたい、と思っている。「家族を
失うことがどんなに苦しいことか、命がどんなにかけがえのないものか、きっとわかってく
れることだろう」
手記は、最後にブブカちゃんへの手紙で締めくくられている。
「ぶぶちゃんは正義の味方になりたかったんだもんね。その大事な夢をきっと叶(かな)
えてあげるからね」
(10:48)