投稿者:   2000/09/23 (土) 09:50:28      [mirai]
 どうしても、納得のいかないレオタードだった。女子体操個人総合決勝の1分39秒。
場外際でドイエの着用したレオタードで世界がもつれた。 

 先に背中から落ちたのはドイエ。篠原は横ばいになりながら、続いた。完全に相手の股
を透かした形。副審の1人が「一筋」を示したために、篠原はガッツポーズまでした。 

 しかし、電光掲示板に示された「一筋」のポイントはドイエについた。その場面で、「お
かしい」とアピールできないまま試合が進み、このポイントが明暗を分けた。 

 確かに篠原は試合をコントロール出来なかった。篠原が左、相手は右のけんか4つ。普段
なら、組み手争いから先に技をかけるのは篠原のはずだった。 

 だが、引き手をきつく押さえられたために、動きを封じられた。その後、守るドイエに
「込み」が与えられ、ポイントは並んだ。残り46秒で内またを返され、再び「一筋」をリード
される。試合終了時点で、主審はドイエに手を挙げた。 

 篠原の持ち味は体を正対させた形から、全身の力を1点に集中させる破壊力にある。しかし、
決勝では先にとられた引き手にこだわるあまり、頭を下げ、体をくの字に曲げるシーンばかり
が目立った。 

 初戦から動きが硬かった。ほおがこけ気味で疲労の色が出ている。体が小さくなったように
見え、レオタードがダブダブ。そのゆるみを、ドイエに狙われて組み勝たれた感じだ。 

 決勝は、試合の流れは奪われていたが、最初のポイントの「誤審」が認められるなら、勝敗は
ひっくり返る。金メダルは篠原の手の中にあるはずだった。 

 1988年ソウル五輪の斉藤仁以来、遠ざかっている最重量級の王座。篠原の不調は重圧か。
大本命と見られていた日本のエースが敗れたとすれば、それは敵にではなく、五輪の食い込みにだろう。