投稿者:   2000/09/27 (水) 12:10:05      [mirai]
 どこまでもつづく海を見たことがある。
 どうしてあれは、あんなにも心に触れてくるのだ
 ろう。

 そのまっただ中に放り出された自分を想像してみ
 る。

 手をのばそうとも掴めるものはない。

 あがこうとも、触れるものもない。

 四肢をのばしても、何にも届かない。

 水平線しかない、世界。

 そう、そこは確かにもうひとつの世界だった。

 そして、その場所には向かえる場所もなく、訪れ
 る時間もない。

 でも、それは絶望ではなかった。

 あれこそが永遠を知った、最初の瞬間だった。

 大海原に投げ出されたとき、ぼくは永遠を感じる。

 だからぼくは、小さな浜辺から見える、遠く水平
 線に思いを馳せたものだった。

 虚無…。

 意志を閉ざして、永遠に大海原に浮かぶぼくは、
 虚無のそんざいだった。

 あって、ない。

 でもそこへ、いつしかぼくは旅立っていたのだ。