投稿者: 2000/09/27 (水) 21:34:01 ▼ ◇ [mirai] あの日から、ぼくは泣くことが多かった。
泣いていない隙間を見つけては、生活をしている
ようだった。
ぼくはみさおと過ごした町を離れ、叔母さんのと
ころへとあずけられていた。
4月の陽光に映え、緑がきれいな町だった。
でも、それでも、ぼくの涙は乾くことはなかった。
どれだけ涙というものは流し続けられるのだろう。
不思議だった。
「泣いてるの…?」
そしてその町で、最初に泣いているぼくをみつけ
たのがその女の子だった。
晴れた日、曇りの日、小雨がぱらつく日…。
泣くぼくの隣には、彼女がいた。
「いつになったら、あそべるのかな」
毎日のように泣き伏すぼくをみつけては、話しか
けてくる。
ぼくは口を開いたことがなかった。開いたとして
も、嗚咽と漏らしただけだ。
もう空っぽの存在。亡骸だった。
それにもかかわらず、彼女はそこに居続けた。
いったい、その子が何を待っているのか、ぼくに
はわからなかった。
「…きみは何を待っているの」
初めて、ぼくは話しかけた。
「キミが泣きやむの。いっしょにあそびたいから」
「ぼくは泣きやまない。ずっと泣き続けて、生き
るんだ」
「どうして…?」
「悲しいことがあったんだ…」
「…ずっと続くと思ってたんだ。楽しい日々が」
「でも、永遠なんてなかったんだ」
そんな思いが、言葉で伝わるとは思わなかった。
でも、彼女は言った。
「永遠はあるよ」
そしてぼくの両頬は、その女の子の手の中にあっ
た。
「ずっと、わたしがいっしょに居てあげるよ、こ
れからは」
言って、ちょんとぼくの口に、その女の子は口を
あてた。
永遠の盟約。
永遠の盟約だ。