投稿者:   2000/10/20 (金) 06:12:24      [mirai]
十数メートルの距離を挟んで剣を構え対峙する 2人の男
その緊張感が あたりの空気を引き締めている
その勝負を観客が見ていたならば 2人の男は互角ではないことが感じられただろう
片方の男は尋常でない量の汗で顔面を濡らし その息は荒く目には怯えが宿っていた
掌はぬめる 剣を滑り落としそうなほど

その男 しば は いつもならば この程度の勝負に気後れすることは無かっただろう
今は彼の下腹部に黒く感じる渦がある 
しばは下痢をしていたのだ
相手の男が罵倒の言葉やトリッキーな動きでしばを驚かせ 挑発する

下痢であることを悟られてはならない 
弱点を知られれば勝機を逃すことになるだろう


不意に 相手の男が口を開く
「どうしたんだい? いつもの調子は、暴れん坊しばの名前が泣くぜ。」
しばは黙って聞き入る
「今朝の朝飯が、あんたの運命の分かれ道になったのさ!!」
男はしばの不運な状況を全てを見通していたのだ
それどころか謀略を仕組んで まんまとしばを罠にはめていたのだ
しばの頭には今朝食べたチキンサンドの映像が陽炎のようにゆらめいて浮かび
それさえもが しばの愚かさを嘲笑っているかのようだった

汗粒が伝うしばの顔面には皺が寄り 口元は痙攣したかのように震えはじめ
心の中は怒りの紅蓮の炎に染まった
剣を持った掌に力を込めた
相手の男は 予測を誤った

しばは 
一瞬大地を蹴り出し
鋭く前傾した姿勢で猛烈に突進した
剣を横に構え それで空気を切り裂かんばかりに
「俺はぁ、うんこを漏らしたァァァァ!!!」
それと同時に
液体と気体と流動体が筋肉を押しのけ絡み合いながら
先を争って孔の出口から飛び出して行く
その音で 失踪音のリズムを乱しながら

そして
構えた太刀が反射させた光が 一条の閃光となって男の胴体を駆け抜けた
男の体は鮮血を迸らせながら後ろに弾かれ
そして大地に投げ出された 

もう動くことはなかった

噴き出した汗が冷えてゆく心地よさを感じながら
しばは 荒くなった呼吸を収めようとしながらも
尻の谷間に熱い湿り気を感じていた
みるみるうちにズボンの臀部に茶色い染みが浮かんできた

しばは空を見上げた 
魂の抜けた人形のようになって立ちつくし
日が傾き始め その姿が影を落とし始めていた