Ｑ１：ラストの子供２人は誰の転生？
 Ａ１：誰の転生でもありません。本作において転生の事実がはっきりしているのは翼人だけです（往人の変容＋時間
 遡行はあくまで彼ひとりの特殊な現象とみなすべきでしょう）。仮に翼人や往人だとすると，観鈴の死よりも過去に転
 生していることになってしまいますが，どう考えてもこの時間遡行は物語上の必然性を欠いています。

 Ｑ２：それでは，なぜ彼らは全てを知っているような口調なのか？
 Ａ２：物語に登場しておらず，なおかつ（これから起こることも含めて）全てを知っている。そんな人物はただひとり，物
 語を読んできたプレイヤーのみです。すなわち，あの幼い男女は読み手たるプレイヤーの象徴だというのが僕の解釈
 です。男女２人組なのは，当然読み手の性別を区別しないための配慮です。

 Ｑ３：では，なぜラストでDreamの冒頭（夏の始まり）に時間が遡行するのか？
 Ａ３：ここが本説の核心です。あのラストは物語内の「夏」（８月をまわり，すでに終わりつつある）から現実時間の「
 夏」（まだ始まったばかり）に回帰するという意味を持っています。つまり，観鈴や往人の夏は終わってしまったけど，
 僕ら（読み手）の夏はここから始まるんだよ……ということを表現しているのです。
 ラストで時間が初めにさかのぼる理由は，これ以外の解釈では説明が難しいと思います。

 Ｑ４：あのラストは「永劫回帰」なのか？
 Ａ４：違います。読み手が物語のページを冒頭から読み返したとしても，登場人物が悲劇を繰り返し体験するわけで
 はありません。往人＝そらのおかげでややこしくなってはいますが，全体としての物語はただ一度きりの「すでに起こ
 ってしまった」悲劇であり，それを繰り返し体験するのはあくまで読み手なのです。

 Ｑ５：では，少年の言葉「無限の終わりへ」とはどういう意味？
 Ａ５：これについては正直自信はないのですが……「星の記憶を大地に還すためには，観鈴やみちる，佳乃だけでな
 く，もっとたくさんの幸せな思い出が必要なのだ。だから僕らも始めよう，無限を終わらせるために」このようなメッセー
 ジだと解釈しています。