投稿者:   2000/10/23 (月) 01:28:28      [mirai]
梓の言う穴場とやらで、ふたりは釣りの準備をした。
「エサはどうすんだ」
「その辺の石とかどかせばいるだろ」
「石?」
「ほら、それとか」
 そう言って、梓は大きめの石をひっくり返した。
 その裏にいたミミズを捕まえ、
「ほら」
 耕一に差し出した。
 うねうね動くミミズ。
 正直、気持ち悪いと思いつつも、それを受け取ると、梓をまねて針に通した。
 針が刺さってもミミズは平気で動いていた。
「いいか。ヤマメはすぐ逃げるから、音立てんなよ」
「わかった」
 水面にふたつの銀糸が垂れた。