投稿者:   2000/10/23 (月) 01:29:16      [mirai]
 家に帰ってきても、父はまだ伯父夫婦とむずかしい話を続けていた。
 下の妹ふたりは、梓が耕一を独り占めしてたことを知ってふくれていた。
 いつのまにやらこっちの空気になじんでいた耕一は、気持ちにも余裕が出て来たのか、明日みんなで海に行くことを約束した。
 女の子ふたりはうれしそうにはしゃいでいた。
 しばらくして、一番上の姉が帰ってきた。
 耕一より三つ年上の中学生で、きれいで優しそうな女の人だった。
 頭をなでられ、優しく微笑まれたとき、耕一はドキドキし、息苦しくなり、思わずその手を払いのけてしまった。
 そして、逃げるように奥へ引っ込んだ。
 生意気ざかりの耕一は、子供扱いされるのがたまらなく嫌だった。
 そして、高鳴る鼓動を気付かれたくもなかった。