家に帰ってきても、父はまだ伯父夫婦とむずかしい話を続けていた。 下の妹ふたりは、梓が耕一を独り占めしてたことを知ってふくれていた。 いつのまにやらこっちの空気になじんでいた耕一は、気持ちにも余裕が出て来たのか、明日みんなで海に行くことを約束した。 女の子ふたりはうれしそうにはしゃいでいた。 しばらくして、一番上の姉が帰ってきた。 耕一より三つ年上の中学生で、きれいで優しそうな女の人だった。 頭をなでられ、優しく微笑まれたとき、耕一はドキドキし、息苦しくなり、思わずその手を払いのけてしまった。 そして、逃げるように奥へ引っ込んだ。 生意気ざかりの耕一は、子供扱いされるのがたまらなく嫌だった。 そして、高鳴る鼓動を気付かれたくもなかった。