投稿者:   2000/10/23 (月) 01:35:23      [mirai]
空は雲一つない青空。
昼というには少し早く、あまり気温も上がっていない。
穏やかな陽射しの中、閑静な住宅街を1台の軽トラックが走っている。
普通の白い軽トラだが、行き交う人々は皆その車に視線を向ける。

その車とすれ違う者は前から運転席と助手席に座る少女に視線を向ける。
運転している少女は免許を取ったばかりなのだろう、かなり緊張した面持ちである。
だが顔立ちや服装からは品の良さがうかがえ、
いかにも『お嬢様』といった印象を受ける美しい少女だ。
その隣にいる少女も負けず劣らずの美人である。
長い黒髪につり目がちであるが整った顔立ち。
クールな雰囲気を漂わせているが、フリルのついた可愛い服を着ている。
この2人の少女と軽トラという組み合わせはかなりアンバランスである

その車に追いぬかれた者は後ろからその軽トラの荷台に視線を向ける。
引っ越しなのだろうか、様々なものがのっている。
温州みかんと書かれたダンボール箱。
解体されたベッド。
巨大な動物のぬいぐるみ。
そしてそれに寄りかかって眠る青年。
大の男がぬいぐるみと眠るのはおかしな光景だ。
だが軽トラの荷台に乗るだけでも危ないのに居眠りしているのでかなり危なっかしい。


しばらくするとその車は1軒の家の前で止まった。
赤い屋根の小さな洋風の家。
割と庭は広く木が1本立っている。

ガチャ・・・バタン。

運転していた少女は車から降りると荷台へ向かって話し掛けた。


「着きましたよ~。裕一さん。」