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投稿者: 2000/10/11 (水) 17:09:07 ▼ ◇ [mirai]--------------------------------------------------------------------------------
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川沿いの道を歩く。
陽射しを浴びた水面がまぶしく輝いていた。
流れる水は澄んでいて、底まではっきり見える。
そのまま飲んでも良さそうなほどだ。
しばらく歩いた辺りで、少年が脇道の林の中を指さし、言った。
「おい、見ろよ、あそこ」
耕一は見た。
だが、普通に木があるだけだ。
「なんだ?」
少年は一本の木に歩み寄り、その上を指差した。
「クワがいるだろ?」
「クワ?」
木を見上げ、目を凝らして、わかった。
クワガタだ。
「ほんとだ、すげえ」
店で売ってる以外のクワガタを耕一は初めて見た。
「ノコだぜ、大物だ」
おそらくノコギリクワガタのことだろう。
耕一の一番好きなクワガタだ。
「捕まえるか?」
耕一が言うと、
「………」
少年は見上げたまま少し考えて、
「無理だ、上すぎる。『たも』があっても届かねーよ」
残念そうに言った。
耕一も『たも』が網のことだというくらいは知っていた。
「くっそ~、もったいね~」
「………」
わずかに悩んで、耕一は、
「よし」
決心した。
「あ、おい」
耕一は木を登り始めた。
木登りはわりと得意なほうだった。
足場もあるし、そう登りにくい木でもない、いける。
耕一は登った。
純粋にクワガタを捕まえたいという気持ちと、それ以上に自分の力を少年に見せておきたいという気持ちがあった。
「落ちんなよ!」
少年の声がずいぶん下から聞こえる。
だが、振り向かない。
気がつけば、手の届く距離にクワガタがいた。
耕一は手を伸ばした。
その瞬間。
ブブブ──。
クワガタは羽を広げて飛んでいってしまった。
「ちくしょう!」
一瞬、木から飛んで捕まえそうになり、慌てて思いなおした。
こんなとこから落ちたらひとたまりもない。
「しょうがねーよ、降りてこい」
見ると、少年の姿は遙か下にあった。
夢中だったとはいえ、自分の登った高さに驚いた。
「ゆっくり降りろよ」
「わかってる」
登ったときの倍以上の時間を掛けて、耕一はゆっくりと木を降りた。
胸はどきどきしていたが、顔は、さもなんでもないふうを装った。
「お前、すげーな」
「何メートルぐらい登った、俺?」
「う~ん、5メートルぐらい」
感覚的には10メートルぐらい登ったような気がしたが、まあ、実際はそんなものかも知れない。
でもすごいことだ、我ながら思った。
「俺、都会のやつはもっと弱いと思ってた。でもお前はすげーな」
「このくらいなんでもないさ。でもおしかった。もう少しで捕まえれたのに」
「しょうがねーよ。今度『たも』持ってきて、捕まえようぜ」
「おう」
「行こうぜ、コーイチ。もうちょいだ」
少年が歩き始め、耕一も続いた。
「なあ」
「うん?」
「ところでお前、名前なんていうんだ?」
「おれか? 梓(あずさ)」
「かっこいいな」
「そうか?」
ふたりの間にちょっとした友情が芽生えていた。
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:08:11 ▼ ◇ [mirai]Page 3
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道は徐々に勾配がきつくなり、途中からは未舗装のジャリ道になった。
道の横には流れの速い川が流れている。
黄色いショベルカーが止められていた辺りで、
「こっからは歩いてこう」
少年が自転車を降りて言った。
「自転車、盗られないか?」
「鍵かければ大丈夫。盗るやつなんかいないよ」
自転車の鍵を掛け、釣り竿とバケツを持つと、少年はさっさと上流へと向かって歩き出した。
耕一も続く。
少年の足は速かった。
まるでどんどん加速していくかのように、ひょいひょいと先へ進んでいく。
「どの辺まで行くんだ?」
「水門のもっと上」
「ここじゃ釣れないのか」
「釣れるけどこの辺はフナばっかだ。たまにコイもいるけど」
「フナじゃダメなのか」
「フナなんか誰も喜ばないぜ。マズイし」
「食うのか?」
「オレはあんまり食わないけど、父さんは食うよ」
「焼いて?」
「甘く煮る。でもうまくない。ヤマメは焼くよ。ヤマメはうまいってさ」
「ヤマメは、上にいるのか?」
「ああ。おとついも二匹釣った」
「へえ」
耕一はヤマメがどんな魚か知らなかった。
だがそんなことはどうでもよかった。
それよりも。
自分で釣った魚を、焼いて食う。
なによりも以前から憧れていたことだった。
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:06:41 ▼ ◇ [mirai]--------------------------------------------------------------------------------
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焼けたアスファルトに最初の一歩を踏み出したとき、
「よう」
突然、見知らぬ少年に声をかけられた。
日に焼けた肌、短い髪。
真っ白なTシャツにジーンズのショートパンツ、素足にシューズ。
Tシャツの白が陽射しにまぶしかった。
誰だろう、地元の子だろうか。
「お前、コーイチだろ?」
いきなりなんだ、と思ったが、なによりもまず『なめられてたまるか』という気持ちが先に立った。
「だったらなんだよ?」
耕一は真っ直ぐ相手をにらんで答えた。
年下……だと思う。
体はこっちのほうが大きいが、向こうはそれを気にしてる様子はない。
運動神経が良さそうで、なんとなくケンカ慣れしてる感じがする。
とにかく、生意気だと思った。
「出かけんのか?」
馴れ馴れしさにムッとしつつも、耕一は、
「ああ」
と、素っ気なく答えるだけは答えた。
「どこ行くんだ?」
「あの山」
「歩いてか?」
「ああ」
「へえ」
少年はにんまり笑った。
小馬鹿にしたような、やっぱり生意気な笑い方だった。
ふん。
おかしなやつにつきあってる暇はない。
耕一は無視して先を急ぐことにした。
「待てよ」
少年がそれを呼び止めた。
「歩くと結構時間かかるぜ。見た目より遠いんだ。チャリで行けよ、貸してやっから」
言うと、少年は当然のように柏木家の門をくぐり、中へ入っていく。
「……お前、もしかして、この家の者(もん)か?」
「そうだよ」
なんだ。
ってことは、こいつも俺のいとこなのか。
初めて知った。
へえ、こんな年の近いヤツがいたんだ。
父はあまりこっちの家のことを話さない。
この少年のことも、さっき紹介されたふたりの女の子たちのことも、ここへ来て初めて知った。
下の女の子たちはまだ小さくて、耕一の遊び相手としては不釣り合いだった。
でも年が近いこいつとなら──まあ、生意気なのはちょっと問題だが──もしかしたら仲良くなれるかもしれない。
少年は、門の内側に置かれている自転車のうち一台を指差して言った。
「これ貸してやるよ。おれの」
銀色の自転車だった。
普段の扱いが乱暴なのか所々痛んではいたが、まあ、ぜいたくは言えない。
「さんきゅ」
礼を言い、耕一はハンドルを握った。
見ると、自転車の前かごに小さなリールのついた釣り竿が入っている。
「この竿……」
「ああ。それ、てきとーに置いといていいよ」
「魚、釣れるのか? この辺」
「そりゃ釣れるさ。海でも川でも」
「へえ……」
釣り竿を握る耕一を見て、少年は、にっ、と笑った。
「お前、釣りしたことあるか?」
「あるよ」
あるにはあるが、ずいぶん昔だ。
まだ小さいころ、父親に連れていってもらったことがある。
そのとき一回きりだが、釣りをした経験があるのは事実だ。
「なに釣った?」
「え? ……魚」
「ハハハ、そりゃ魚に決まってるだろ、バーカ」
カチンときた。
だが少年は悪びれたふうもなく微笑むと、
「釣りしたい?」
耕一の顔をのぞき込んでそう言った。
無邪気な笑顔だった。
「え? あ、まあ……」
正直、胸が高鳴った。
「じゃあ、させてやる」
少年はガレージの中からもう一本の釣り竿を持ってきて、白い自転車のかごに放り込んだ。
足もとに転がっていたプラスチック製のバケツを取り、取っ手をハンドルに通す。
「ついてこいよ」
少年はペダルに足をかけ、自転車にまたがった。
大きめの自転車を器用にこいで、アスファルトの路上に滑り出す。
耕一も銀色の自転車にまたがり、ペダルを蹴った。
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:06:04 ▼ ◇ [mirai]Page 1
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真夏の午後だった。
陽射しは強く、見上げるとそのまま白い光にとけ込んでしまいそうな眩しさだった。
暑い、といっても都会のいやな暑さとは違う。
カラッとした清々しい風が吹いていた。
ざっと辺りを見渡すと、白や灰色より圧倒的に緑が多い。
いまさらながら田舎に来たことを実感し、胸が躍った。
向こうには山が見える。
真っ直ぐ延びた道は、500メートルほど向こうから緩やかな傾斜になって、鮮やかな緑へと続いていた。
海も近い。
電車の窓からはずっと青い海が広がりを見せていた。
自転車を借りて川を下っていけば、10分ほどで着くだろう。
山と海、どっちへ行こうか。
決まってる、どっちもだ。
夕暮れまでにはまだたっぷりと時間がある。
とにかくせっかく田舎に来たのだから、普段味わえないことを満喫したい。
見知らぬ土地でひとりきり。
不思議と寂しさは感じなかった。
それどころか、どこかなつかしいものさえ感じていた。
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:05:48 ▼ ◇ [mirai]はじめに
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夏ということで、それにちなんだ企画ものをやってみようと思います。
もの自体は、ずいぶん前に書いたものを手直ししたものです。
最近流行の田舎による癒し系ですね。
夏休み、ふたりこんな出会いをした、と、ただ、それだけの内容です。
気持ちをリラックスさせて読んでみてください。
作:高橋龍也
挿し絵:水無月徹
(彩色:ねのつきゆきしろ)
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:05:40 ▼ ◇ [mirai]それよりペド動画アプしろよ
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:05:22 ▼ ◇ [mirai]さすがに絵はみつからねけ
投稿者: 2000/10/11 (水) 17:04:19 ▼ ◇ [mirai]見つけた
水門を越え、川の上流までやってきた。
道らしい道もなくなり、ふたりは河原の石の上を飛び移って進んだ。
「コケんなよ、血が出るぞ」
「おう」
ときどき危なっかしい耕一を振り返りながら、梓が言った。
梓の身軽さに、耕一は一生懸命ついていった。
運動神経は耕一だってさほど悪くない。
要は慣れと度胸だ……度胸だ。
「水門より上は危ないからって、楓と初音は連れてこないんだ」
「ふーん」
楓と初音は例の女の子たちの名前だ。
ふたりともまだ小学校の低学年だ、たしかにここは危なすぎる。
「ところで、コーイチ。お前、何年?」
「五年。お前は?」
「三年」
「なんだ、二年も下じゃないか」
聞いた途端、耕一の声がおっきくなった。
いままで対等だった関係が、わずかに優位になった気がした。
「気をつけろ、梓。ケガすんなよ」
「はあ? しねーよ」
とたんに兄貴風を吹かし始める耕一だった。
> 投稿者: 2000/10/11 (水) 17:02:29 ▼ ◇ [mirai]> > 需要がなさそうなので終了。
> じっくり見てるところだよ
必要なら続きをアプするさ
参考:2000/10/11(水)16時59分18秒
> 投稿者: 2000/10/11 (水) 16:59:18 ▼ ◇ [mirai]> 需要がなさそうなので終了。
じっくり見てるところだよ
参考:2000/10/11(水)16時58分06秒
投稿者: 2000/10/11 (水) 16:58:06 ▼ ◇ [mirai]需要がなさそうなので終了。
投稿者: 2000/10/11 (水) 16:56:35 ▼ ◇ [mirai]のどが痛いんでフリスク食いまくってるんだけど、全然効かない
投稿者: 2000/10/11 (水) 16:56:14 ▼ ◇ [mirai]その3
http://mirai05.virtualave.net/cgi-bin/image/mirai949.jpg
投稿者: 2000/10/11 (水) 16:52:10 ▼ ◇ [mirai]2枚目
http://mirai05.virtualave.net/cgi-bin/image/mirai948.jpg
投稿者: 2000/10/11 (水) 16:51:02 ▼ ◇ [mirai]ノーベル賞
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